FXでデイトレーダーに人気があるポンド円はドル円と比べ、証拠金率が低いため値動きが激しいと思われがちですが、ボラティリティー(変動幅)で見るとそんなに動きていないことがわかります。ですからスキャルピングやデイトレードをする場合には、対円の為替レートでレバレッジ計算をするようにしましょう。
新政権の発足でポンドは急上昇?
先週行われた英国総選挙では、キャメロン党首率いる保守党が36.1%の得票率、306議席を獲得し、第一党に浮上しましたが、定数650議席の過半数には達しなかったため、一週間近くにわたって政局が揺れました。保守党が少数与党のまま政権を担えば、不安定な議会運営を強いられることとなり、歳出カットなど重要な法案を通すことが困難となる恐れがありました。
また255議席を獲得した労働党と57議席を獲得した自民党とが連立すれば、ブラウン首相続投というドンデン返しシナリオも考えられました。(労働党と自民党は、富裕層への課税方針や親EU路線で政策的に近いとされています。)
しかし今週火曜日、労働党と自民党の連立協議が物別れに終わり、正式に保守党・自民党による連立政権が成立。13年ぶりの政権交代と、戦後初の連立政権が確実になりました。
ブラウン首相は最後は自分の党首辞任と引き換えに、労働党と自民党の連立を模索しましたが、クレッグ党首は保守党との連立を選び、「最大得票数を得た政党が連立政権の長となるべきだ」との主張を貫きました。クレッグ党首は副首相に就任し、自民党からは4人程度が入閣する模様です。ともあれ、選挙で敗れた第二党と第三党が連立を組むという事態は回避され、英国民にとっては納得の結果となったのではないでしょうか。
肝心の両党の政策のすり合わせですが、経済政策に関しては明らかに財政健全化が最重要課題であり、他の選択肢はありません。英国は景気の長期低迷で財政出動を繰り返した結果、財政赤字がGDP比11.5%と著しく悪化しており、中道左派の自民党とはいえ、もはや大きな政府という路線は選択できません。今後は増税や各種の歳出カットなど痛みを伴う政策を遂行していくうえで、両党は協力していくことになります。
また親米の保守党と親EUの自民党の間で最も調整が困難と見られたEU政策に関しては、ユーロ導入の提案を行わないことで合意した模様で、ひとまず自民党が歩み寄った形となったようです。とはいえ基本スタンスとしての外交政策、防衛政策、移民政策、選挙制度改革などで両党の隔たりは大きく、今後きしみが出ることは必至です。キャメロン新首相とクレッグ新副首相がどう両党の隔たりを埋めていくかがポイントとなりそうです。
ポンド相場は、とりあえず政治空白が解消されたことを好感し(多少のご祝儀買いも加わり)堅調に推移中。特にユーロに対しては、欧州のソブリンリスクを背景にユーロが弱いという事情もあり、リーマンショック以降の大きな三角持ち合いを完全にポンド高方向に抜けてきました。
http://mpse.jp/tkymail/c.p?12c2b9G1jQa
ギリシャ危機を経て、今後市場の関心が景気動向よりも財政問題に向かうことはほぼ確実。財政再建に積極的なキャメロン首相とクレッグ副首相の43歳コンビの手腕に対する期待は高まりそうです。また13年にわたって財政赤字を拡大させてきた労働党政権時代が終わったことも、市場心理に少なからぬ影響を及ぼしそうです。
対照的に、EUはこのままでは加盟国の財政破綻もないとはいえない状況。7500億ユーロという巨額の金融支援でひとまず市場の不安感を抑え込もうとしていますが、しょせんは保証枠という一種の「見せガネ」であり、どこまで効果が持続するかは不透明です。
FX ポンドは今後(特に対ユーロで)意外な上昇の可能性があるのではないかと考えています。
ギリシャの国際格付けが為替相場に与える影響
EUが7500億ユーロの緊急金融支援策と欧州中銀によるソブリン債買入れを決定したことを受けて、週初はユーロの買い戻しが殺到。ユーロドルは1.3090付近、ユーロ円は122.25円付近まで急騰した。
しかしムーディーズが「ギリシャの格付けをジャンク級へ引下げる可能性」と述べたことや、中銀による債券買入れがユーロの信認を損なうとの見方が浮上したことから、1.25台、116円台へ反落。「グローバル・ソブリン・オープンがユーロやポンドの比率を引き下げた」と報じられたことも響き、1.2515付近、115.90円付近まで下落した。
ドル円は、週初はEUの支援策を受けた株高・リスク選好の流れを受けて93.50円付近まで上昇したものの、中国の金融引き締め観測や「米検察当局がモルガン・スタンレーを調査」との報道を受けて92.25円付近まで反落。
株高連鎖や米国債利回りの上昇を受けて93.60円付近まで持ち直したものの、「NY州クオモ司法長官がゴールドマン・サックスなど8行を調査」と報じられたことをきっかけにダウが下落すると、92.60円付近まで押し戻された。
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著名な為替ディ-ラーの方
小川統也 氏(バークレイズ銀行東京支店 ディレクター)
立教大学理学部数学科卒。
2008年4月、為替スポットトレーダーとしてバークレイズ銀行東京支店に入行。ドル/円(USD/JPY)フランチャイズ担当。
バークレイズ銀行入行以前は、東京を拠点に約18年間にわたり、為替トレーダーとして実績を積む。1998年より、モルガン・スタンレー銀行にて欧州通貨を担当。また、2000年より同証券会社にて、ユーロ/ドル(EUR/USD)、ユーロ/円(EUR/JPY)、ドル/円(USD/JPY)のトレードに従事。2006年11月より同社の為替本部でチーフ為替トレーダーを務めた。
それ以前は、1991年より住友銀行資金為替部において、ドル/ドイツマルク(USD/DEM)、ドイツマルク/円(DEM/JPY)およびドル/円(USD/JPY)といったG7諸国主要通貨の為替トレードを担当。
豪ドル、カナダドル、南アフリカランドなどの資源国・高金利通貨の2010年見通しをメインに、世界各国の出口戦略やソブリンリスク、中国バブルと人民元切り上げ問題などについても取り上げます。